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タイトル名 |
サラの鍵 |
レビュワー |
すねこすりさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2012-01-10 22:15:26 |
変更日時 |
2012-01-10 22:15:26 |
レビュー内容 |
有名人の批評があちこちで出回っている本作。まー、そーですね、「鍵」には2つの意味があるとか、ジャーナリストに赤の他人の人生に土足で踏み込む権利があるのか、いやそれでもジャーナリストは書いちゃう人種なんだ、とか、そういうことは名批評にお任せして、私はもっと下世話なというか、低次元なことが色々気になった映画でした。まず、本作の監督。なんと、あの「美しい妹」の人じゃないの。あっちは私にはさっぱり意味不明だったんだけれども、こちらは、「おぉ、、、」と唸ってしまった。実に端的に描写がなされており、かつ時間処理も上手い。悲惨な歴史を描いているのに、エンタメを忘れていない。しかも、この監督は、女優を美しく撮ることを心得た人だ。これは「美しい妹」でも感じたけど、本作のクリスティン・スコット・トーマスは、ポスターなんかより、ゼンゼン美しい。・・・そして、ジュリアの夫の容赦ない本音。これを、ハッキリ台詞で言わせているところが、すげぇ、、、と思ってしまった。「俺はどうしても子どもが欲しくない」って、これ、なかなか書けませんよ、脚本に。孫が生まれても良いくらいの自分に今さら子どもなんて、、、という、ものすごーく真っ当な感覚を、直球ど真ん中で表現する潔さ。・・・そしてそして、何よりも、ジュリアが真相を追わざるを得なくなった心理。確かに最初はジャーナリスト(という言葉が私は嫌いだが)魂に動かされていたのかも知れないが、そんなのは入口に過ぎなかったんじゃ? 自分が住むかもしれないアパートが惨劇の舞台だったかもと直感したら、ジャーナリストでなくても探るでしょうよ、真相を。それが人間の好奇心ってものじゃない? 原作での描写は分からないけれど、本作を見る限り、ジュリアはジャーナリストとしてというよりは、途中からは極当たり前の一人の人間として真相を探っていたように見えた。そしてそれがむしろ自然でリアリティを感じる。たとえ真相がどんなものであれ、それを知りたいと思うのは、別にジャーナリストの特権じゃありませんよ、と、沢木耕太郎には言いたいなぁ。ま、ジュリアの職業が編集者だからなんだけれども。職業の設定が違うものだったら、どーだというのか。・・・と、ウダウダ書き連ねても凡人の私の場合1円にもならないので、この辺で止めておくけれど、本作は実に良い映画です。2度見、3度見にも耐え得る貴重な作品と言えましょう。 |
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