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タイトル名 |
父の祈りを |
レビュワー |
すねこすりさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2010-08-22 17:41:17 |
変更日時 |
2010-08-22 17:41:17 |
レビュー内容 |
うーん、評価しづらい作品。冤罪モノと一括りにしていいのか。容疑もないのに7日間の拘留を認める法律が出来ちゃったからこそ、この話は起きたんでしょう。これはものすごくヒステリックな法律だけれども、ヒスってのは、ある種の過剰な正義論から生まれもするわけで、背景が不透明な事件事故でも、必ずや誰かを犯人なり責任者に仕立て上げて「血祭りに上げる」ことで、当事者及び大衆が溜飲を下げる、みたいな現象はよく起きる。そこで本来は、背景を含めた事の本質を見ようとする冷静さが問われなければならないはずだが、起きた事象だけに耳目が集まり、ヒスへの流れを止められなくなる。翻って、本作は、そもそも、アイルランドの複雑な歴史的背景が一切排除されているので、警察の横暴振りだけが前面に出ているが、宗教的対立に根差す理屈で語れない「民族感情」が根底にあったことが軽視されている。これは結局、本作自体、起きた事件を「実話モノ」として事象だけなぞってしまうことで、ヒスの流れに乗ってしまっている気もしなくはない。実話モノってのは、見る側の良識度というか、冷静さが問われる気がするので、作品自体の評価は本当に難しい。父子が同じ房に入っていたり、鑑賞会で「ゴッド・ファーザー」がかかっていたりと、これも事実だったのなら、この刑務所は、ある意味かなり鷹揚な刑務所のようにも感じる。映画としてみれば、ダニエル・デイ=ルイスは相変わらず素晴らしいし、表現も抑えた感じでよいとは思うけれども。いずれにしても、製作者の立ち位置としては疑問符がつく。 |
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