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タイトル名 |
ボーイズ・ドント・クライ |
レビュワー |
すねこすりさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2009-08-27 11:33:31 |
変更日時 |
2009-08-27 13:02:46 |
レビュー内容 |
こんなことを言っては身も蓋もないけれど、人間社会から差別・偏見・イジメがなくなる日なんて、永遠に来ないと思う。人間に限らず、動物界でさえ(だからこそ、かも知れないが)マイノリティーは壮絶なイジメに遭う・・・。初めて見る稀少な存在・事例を、一体どれだけの人間が「無」の感情で受け入れることができるのだろうか? この作品は、そういう意味で極めて難しいテーマを取り上げたわけで、「差別はダメよ」というメッセージを伝えるだけならむしろ簡単、恐らくもっと饒舌になっていただろうと思う。作り手は、差別の完全排除が不可能なんてことは織り込み済みで、だからこそ、淡々と事象を描写するに至ったのだと解したい。それが故に理不尽な展開に納得できず、共感を得られない部分も多いのかも知れないが、これはこれで仕方のないつくりだと思う。ここで、安直に「性同一性障害は障害なんです。みなさん、もっと理解しましょうね」と障害をクローズアップし過ぎても、ヘタすれば上から目線になってしまう可能性もあるし、マイノリティーには問答無用で感情的に激しい嫌悪・排斥願望を抱く人間がいるのも事実。「とにかく嫌い(不気味)」を理由にする人に正論を盾にした説教臭いメッセージはむしろ逆効果とも言える。・・・ということを踏まえた上で、しかし、ジョンとトムの終盤の行為については、マイノリティーに対する感情的排斥願望ももちろんあっただろうが、ラナの心を奪われたことに対する怒りと嫉妬、あるいは「化け物」を受け入れたラナ自身に対する怒りを、ブランドンが最も屈辱感を味わうに違いない行為で以って解消したという要素が大きいように感じた。ラナ自身がブランドンが女性と分かった時点で拒絶していれば、凄惨な事件は起きなかったように思うからだ。最後も「化け物」を抹殺したいという感情よりは、自分たちのしたことを公にされたことに対する怒りから暴走した行為とも言えないだろうか。ここが、差別によるもの、と解されると極めて衝撃的だけれど、あくまで2人の男の自己愛・自己保身によるものと考えれば、それほど不思議でもない。ここは、あえて語り過ぎずに、見る者に解釈・判断を任せる姿勢は良いと思う。いずれにしても、作り手の志には敬服するが、評価の難しい作品。見ていて終始居心地悪く、それこそ好き嫌いで点数をつければ、この点数。 |
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