|
タイトル名 |
新・兵隊やくざ 火線 |
レビュワー |
いのうえさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2007-03-18 23:11:17 |
変更日時 |
2007-03-18 23:11:17 |
レビュー内容 |
『兵隊やくざ』シリーズは、大映のシリーズものの中でも私の一番のお気に入り。特に第一作の増村保造演出は、それはそれは何度見てもほれぼれする出来栄えだった。確か大映で8本作られて、第一作には及ばないながらも、また、出来不出来は多少はあるけれども、全体的にはまずまずの統一を保っている、シリーズとしても優等生だったと思う。大映が倒産した後、東宝でさらに最終作が作られていたことを知ったのはずっと後からのこと。しかも、それが第一作の増村保造によるものだというじゃないか。これは見たい! でも、もちろん版権が違うからDVDのセットには入らないし、ビデオが流通している形跡もない。どうにか見られないものかなあ、とずっと思っていた。そして、やっと見ることができた。日本映画専門チャンネルが、何と、『兵隊やくざ』シリーズ全作品一挙放送などという、酔狂な企画をやってくれたのだ。狂気乱舞! やった、やっと見られる! この興奮! しかし! まず巻頭。タイトルに東宝と出た。ああ、あたりまえだけど、違和感を感じるなあ。やっぱり大映印で始まらないとなあ。この違和感がそのまま本編の展開を予見していた。とにかく全体的に違和感だらけ。こんなの『兵隊やくざ』じゃないよお。冒頭。シリーズ全体を通して、常に冷静だ田村高広の有田上等兵が、いきなり信じられないくらい冷静さを欠き、敵に囲まれて自暴自棄になってしまう。ええ? こんな有田上等兵なんて! 全体のイニシアチブがなぜか勝新の大宮の方に移っている。何で? 逆でしょう? 音楽が、なんだかプロコル・ハルムみたい。というか、完全パクリ? 女は一度抱いた男には素直に従う、って理屈が通ってしまうのがわけわからん。あれだけ巧みに女心を描き出した増村の書いたせりふとは、とても思えないよ。
|
|
いのうえ さんの 最近のクチコミ・感想
新・兵隊やくざ 火線のレビュー一覧を見る
|