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タイトル名 |
丹下左膳餘話 百萬兩の壺 |
レビュワー |
いのうえさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2007-02-21 23:48:33 |
変更日時 |
2007-02-21 23:48:33 |
レビュー内容 |
トヨエツのリメイク版をCSでやっていた。それを見ようとしたが、いや、その前にオリジナルだと思い直し、急遽DVDを購入。買ってよかった。今までなんで敬遠していたのだろう、山中貞雄。カンペキじゃないか。演出、演技、脚本。映画のこれ以上のお手本はない。笑いは反復と予定調和と、わずかのズレから生じる。そのことを改めて確認した次第。しかも、笑いだけではない。例えば、左膳が安坊に父親が死んだことを打ち明けようとした場面。うろ覚えだけどこんな感じ。「おいらは今まで泣いたことはないんだ」安心する左膳。「あ、一度だけある。お母ちゃんが死んだときだ」ああ、何ていう美しいせりふ。何て美しい場面。 小津安二郎が『生まれてはみたけれど』というとてつもない傑作を残したように、戦前の日本映画の喜劇センスは、本当に侮れない。減点は削除されてしまった部分に対して。永遠のマイナス一点。だって、本当、もっと見ていたい、っていう幸せな気分だったのだもの。 原作者は嫌っていたみたいだけど、作品が原作を離れたときに、時に奇跡が生じる。(柴田錬三郎が試写室から怒って出ていったっていう伊藤大輔脚本・三隅研次監督の『眠狂四郎無頼剣』がそうだ。) 昔民放でやっていたのを録った山中監督の『河内山宗俊』が見てないまま眠っている。決まった。次に見るのはこれだ! 日本は国家予算を投じて紛失してしまった山中監督のほかのフィルムを発掘するべきだね。 |
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