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タイトル名 |
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 |
レビュワー |
たくみさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2009-03-21 23:44:48 |
変更日時 |
2009-03-22 20:49:34 |
レビュー内容 |
1960年、70年代の日本の高度成長期が生んだ狂気の徒花として、確かに連合赤軍はあった。それは、若松監督が擁護し正当化するように、若者達が暴走した、まさに青春の歪んだ部分の象徴として存在していたと思う。しかしこの映画を観ると、監督の思いとは裏腹に、革命・平等な世界を作るという高邁な思想はどこかに置き去りのままで、薄暗く息のつまるアジトという密室で特異な世界の中で、凄惨なリンチ・処刑が繰り返されていた場面が詳細に映されていて、憤りとやるせなさでたまらなくなる。自己批判・総括とはいったいなんだろう。連合赤軍のリーダー2名は自己批判・総括という名の下にリンチを繰り返す。その理由も幹部批判を行ったり、自分だけ銭湯に入ったり、顔立ちが単に綺麗であるのが気に入らないといった、本当に人間の嫌らしいねたみ・エゴといった理由によるもので、高邁な思想とはほど遠く、怒りすら覚える。総括を指示するリーダー2名こそ、自ら自己批判・総括を行うべきだろう。しかも2名はそれぞれいた恋人を捨てて愛し合うことになる。女性リーダーは「あなたのことは好きだけど、革命を求める2人はこうなって当然だと思う」ということを元恋人に告げる身勝手さ。もうまるで近くの国のことみたいだし、少し前に解体した新興宗教集団のようでもある。話が拡散したけれど、人間は、人間らしいが上に、革命思想とか理屈とかに縛り続けることはとうてい無理で、そんなこと解っているはずなのに、いろいろなことを革命と結びつけて理屈付けしようとするから歪んでしまうし、だからテロ活動も引き返すこともできなかったのだと思う。浅間山荘事件のクライマックスの中で高校生が「勇気がなかったんだ」とメンバーに向かって叫んだけれど、連合赤軍の行動がオーバーヒートしていったのは正にこの一言に尽きると思う。実際に山荘の中でそういったかは不明だけど、そのように連合赤軍のことを捕らえている若松監督の感性に共感を覚えます。それにしても、たった30名程度で、拳銃や猟銃だけで世の中がひっくり変えるわけがないのに、軍事演習といって実施している内容もままごとのようで、それでも真剣に行っている様は、彼らの行く末を知っている自分たちビューワーにとっては本当に空しく・淋しいし、とりわけ総括の下に拷問死してしまった坂上真紀は本当に哀れで可哀想でした。
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