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タイトル名 |
ブラック・スワン |
レビュワー |
枕流さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2011-05-15 19:09:19 |
変更日時 |
2011-05-15 19:09:19 |
レビュー内容 |
公開初日に鑑賞し、あまりの素晴らしさに3日おいてもう1回鑑賞した。主人公ニナの台詞をもじって言えばまさに"perfect"な出来だ。下り坂を転がり落ちるように加速し、観客の心を捉えて放さないストーリーテリング、流麗なバレエシーンや少しずつ変調を来たしていくニナの心の動きを大胆に表現した撮影方法、チャイコフスキーの原曲を効果的にアレンジした音楽など、見所は尽きない。
キャストの演技も文句のつけようが無い。ナタリー・ポートマンはまさに鬼気迫る演技で、決して共感を得やすいキャラクターではない主人公のニナに見事に血肉を与えた。時にニナに迫り、挑発し、彼女の隠れた欲望を開放させようとする演出家ルロワや娘の成功を喜びながらも過去の自分のバレリーナとしての挫折を忘れることが出来ないニナの母親エリカ、自由奔放なバレリーナのリリーなど、この映画には個性豊かかつ複雑な役柄が多いが、脇役全員がきちんとそれぞれを演じきっている。
脚本も良い。びっくりするような展開は無いが、現実世界の人間とバレエ「白鳥の湖」の中での役割が少しずつ重複していくスリル感が凄い。悪魔のシーンが予告編で使われてしまっていたのは残念だった。かなり重要かつ衝撃的なシーンであり、劇場で初めて観たかった。
ラスト付近の畳み掛けるような一連のシーンには1回目も2回目も涙が止まらなかった。文字通り血のにじむようなニナの肉体的・精神的努力、ルロワやエリカのバレエへの熱情、それらがラストに遂に結実する。ニナは黒鳥になり、それを超越してラストシーンでは白鳥も演じきった。黒鳥を経て、白鳥へ変貌を遂げる際の楽屋でのニナの表情が言葉に出来ないくらい美しい。全てを理解し、運命を受け入れて最高の演技で締めくくる。嵐のような喝采。この映画はハッピーエンドだったと2回目で理解した。
この作品を劇場で観られて本当に良かった。これが映画だ!僕の観たかった映画だ! |
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