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タイトル名 |
トラフィック(2000) |
レビュワー |
枕流さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2008-06-01 22:56:53 |
変更日時 |
2008-06-06 23:42:43 |
レビュー内容 |
練りこまれた脚本。トップクラスの演技。人々の交錯を淡々と映し出す独特のカメラワーク。アンビエントな音楽も効果的だ。ほぼ完璧に近い映画だ。しかし、なぜ?この平均点はなぜ? 答えはそのパッケージにある。アクション映画感丸出し。何度もビデオ屋でアクション映画のコーナーに置いてあるのを見た。非常に惜しい。アクション映画を期待して、この映画を観た人ならば、ほぼ100%失望するだろうから。東宝さんがどういう意図でこのパッケージを作成したのか、理解に苦しむ。 はっきり言って爽快なアクションシーンは全く無い。適度な緊張感とユーモアを孕んでストーリーは進行する。メキシコとアメリカで、麻薬をめぐって、作る者、流通させる者、取り締まる者、見逃す者の思惑が複雑に絡み合う。国家レベルから家庭レベルまで多様な視点で麻薬問題を的確に抉り出し、淡々とそれを提示する。しかし、その視点には一つ重要な共通点がある。それは「暖かさ」だ。刑事たちは巨大シンジケートを相手に絶望的で終わりの無い戦いを展開し、麻薬中毒者の家族は地獄を見る。しかし、一抹の希望を残し、映画は終わる。ドン・チードルは最後、軽快に走り始めるのだ。 デル・トロが少年野球を見つめるラストシーンは私の中で確実に五指に入る。この映画がもっと多くの映画好きの目に触れることを心から願う。 |
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