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タイトル名 |
パットン大戦車軍団 |
レビュワー |
rakitarouさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2006-12-30 21:19:58 |
変更日時 |
2006-12-30 21:19:58 |
レビュー内容 |
軍神と呼ぶに相応しい用兵の天才、しかし一芸に秀ですぎた者にありがちな社会性の欠如から組織に利用されるだけで終わってしまう男の生きようを描いた快作。史実をスケールの大きなロケーションで積み上げてゆくのみでなく、敵である独軍側からの評価もまじえて周囲との人間模様も丁寧に描いてゆくところが圧巻。しかし私はマークさんのご指摘のように監督よりも原作と脚本に携わったコッポラの目指したものを感ぜざるを得ません。出だしの星条旗をバックにしたパットンの演説は「戦って世界に冠たるアメリカの礎になることが誇りとなる」と主張し、単に枢軸軍に勝てとは言っていない。この聴衆を一切映さないカットはアメリカ=パットンを象徴しているように見えます。70年という共産圏との戦いが激化している時、アメリカの目標はソ連に勝ち、世界の覇者になることでした。同時期(73年)に作られた映画「追憶」でも明言されていたようにFDルーズベルトは共産主義シンパであったことは当時米国では常識で、パットンが述べたように第二次大戦直後のソ連への処置は間違っていたとアメリカ人の多くが感じていたことでしょう。しかし79年の地獄の黙示録がアメリカの新植民地主義への非難と考えると、コッポラはアメリカの覇権主義には批判的であったと思われます。この映画の最も最後に出てくる、帝政ローマ時代の凱旋行進で後ろに続く奴隷が主人に囁く言葉「主よ栄光は移ろいやすいものです。」という台詞が大きな意味を持ってくると思います。 |
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