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タイトル名 |
靴をなくした天使 |
レビュワー |
心の金持ちさん |
点数 |
2点 |
投稿日時 |
2007-09-02 19:16:39 |
変更日時 |
2007-09-24 18:32:00 |
レビュー内容 |
頭が柔らかいと自負している。多くの作品を鑑賞し名作の数々に触れている。また映画は肯定的に観ようという姿勢を貫いているが久々に[鑑賞後の後味]の悪い作品であった。評価が高い故何度も観たが共鳴できない。俳優陣は好きだし持ち味を活かしている。特に苦労人D.ホフマンは円熟の域に達しており情けない男を力まずに好演しているし、A.ガルシアも役柄上、抑制の効いた演技がなかなかである。では何が駄目なのか?それは脚本が不出来だからである。粗雑なのに洒落た風を装っている。メディアによる大衆操作などは遥か昔から続いており特筆すべき事柄でもない。この脚本家の他作品「ブレード・ランナー」にはP.K.ディックの名原作があるし「12モンキーズ」にはC・マルケルの「ラ・ジュテ」という立派な元ネタがある。「許されざる者」はタカ派的で嫌いである。この作品では原案者でもある訳で質の高い脚本家とは評価し得ない。真実が明らかになって然るべき場面が多々あるのに無理矢理に真実を覆い隠す場面が目立ち、苛つく。初見時は素敵なラストへの布石かと思ったが納得のいかない後半・終盤であった。バーニーの人生哲学を肯定する方もいよう。だが御自身がバーニーであったらと置換して欲しい、是非。強く主張したいのだが自分が彼と同じ貧困な境遇にあるならば真実が虚偽に埋もれてしまうのは何としても納得し難い。ババーも極限の決意までしておきながら、(バーニーの説得・交渉があったにせよ)いとも簡単に翻心し、また「演じ続ける」。この先はもう良心の呵責にさいなまれないのだろうか?シニカルなドラマと位置づけられているが充分に練られた脚本ならば不条理な結末でもいいと思える作品は多数ある。しかし皮相的な脚本の基では後味の悪さだけが残ってしまう。“You are welcome(どういたしまして)”の一言で済む問題ではない。バーニーもババーも生き続けていくのだから。更に言えば真実を知ったゲイルは報道の何たるかが解っていない。敢えて良かったと言えるのは息子が真実を知った事だけだと思う。但し嘘ばかりの世の中だからこそ真実の尊さを諭すべきであった。斜めに社会を見る子供を育てては世の中荒廃するばかりである、絶対に。単なるブラック・コメディではないだけに、あのようなまとめ方で終わらせる映画を『粋』だとは言えない。申し訳ないが浅薄な映画である。 |
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