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タイトル名 |
男はつらいよ 純情篇 |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2013-07-20 09:57:43 |
変更日時 |
2013-07-20 10:01:11 |
レビュー内容 |
前作『望郷篇』でひと区切りつけたかったシリーズが、さらなる長距離走になっていった第六作。テーマは大袈裟に言えば「故郷からの独立の難しさ」となりましょうか。故郷へ逃げ帰る宮本信子のエピソードで始まって「帰るところがあるから俺はダメなんだ」と寅は自覚し、「でも俺帰るとおいちゃんもおばちゃんも喜ぶからな」と理由を見つけて柴又に帰る(タイトルでは珍しく故郷の空撮もあり)。ところが帰ると邪険そうなおいちゃん・おばちゃん、その理由である下宿人若尾文子と顔を合わせ…、という段取り。あわせてヒロシが独立したがるという重い話題もあり、親(故郷)の金をあてにする。社長への義理と夢との葛藤はもっと突っ込めるモチーフだが、寅の無責任ぶりで笑いをとってあっさり決着。いつもマドンナ役の魅力を引き出すシリーズだが、今回の若尾はあんまりパッとしなかった。夫が迎えに来るとすぐ帰ってしまうのは彼女の役ではないような。「女って弱いわねえ」と呟くだけ(逃げ帰れる故郷のあった宮本信子との対比)。啖呵売(たんかばい)がたっぷり収録されてるのが本作の特徴。小沢昭一が「日本の放浪芸」を完成した年で、そういう民俗学的なものへ世間の興味があったのか、それとも監督の小沢の労作への直接オマージュだったとも考えられる。「消えつつある文化」としての寅の口上を学生(?)が録音してる場面があり、はっきり滅ぶ側の人間として寅が眺められている。本作の締めとして「故郷ってやつはよう」と寅が言いかけると、電車のドアが締まって最後まで言わせない節度。 |
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