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タイトル名 |
笛吹川 |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2009-05-21 12:06:27 |
変更日時 |
2009-05-21 12:06:27 |
レビュー内容 |
この映画、特殊なカラー効果が印象に残るが、音もいいのではないか。主人公たちの家に“政治”がかかわってくるときは、橋の板を踏むバタバタいう音が、まるで歌舞伎の、あれ何て言うの、舞台の端に座ってて板を打つヤツ、あのように響いてくる。原泉の御詠歌のチリンチリンが、戦闘場面の間にも鳴り渡る。まあ原作が傑作なんだけど、傑作文学を映画化して傑作になった稀有の映画だ。やたら被害者意識のみが蔓延してた中で、戦争で生き生きとする庶民て視点が新鮮なんだろうな。つらい日常を忘れさせてくれる祭りの興奮であって、親方様にさんざん痛めつけられても、先祖代々御恩になって…、っていうとこほど戦争における庶民を批判したものはない。けっして庶民は一方的な被害者ではなく、戦争を盛り上げた当事者でもあった。一方、親方様への怨みだけで生きている荒木道子もすごく、息子ともども山門で火に包まれながら、親方様の滅びに歓喜するところ。ラストで高峰秀子が行列に着いていってしまうとこのみ、やや湿り気を帯びたが、あれは思えば『陸軍』の母親にそのまま一緒に行かせてやったものだな。一家が戻ってきたらどこに住もうか、と老夫婦が相談してる場のほうがゾクッとくる。ともかく戦争における庶民を批判する映画で、これほど厳しいものはあんまりなかったと思う。やがて『心中天網島』で夫婦をやる二人が、ここではういういしく兄妹をやってた。 |
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