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タイトル名 |
ぜんぶ、フィデルのせい |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2009-04-21 12:05:14 |
変更日時 |
2009-04-21 12:05:14 |
レビュー内容 |
1970年、学生運動市民運動が高まっていた政治の季節を振り返る視線、批評する目と懐かしがる目とこもごもで、ともかく余裕を持って振り返れるだけの時間がたったわけだ。批評する目に映ったのは、上滑りする熱に浮かされたような気分、父の「団結の精神」という言葉だけが力強く、けっきょく支援したチリのアジェンデ政権は強大な軍によって潰されていく。この無力感。これに対して運動では控え目に見えた母のほうが芯の強さを見せ、女性に皺寄せの来る保守的な社会と戦っていた。最後に娘アンナを動かしたのは、この母のほうだったのだろう。この少女は、単純に保守反動から革新に目覚めた、というわけではなく、変わっていくかも知れない自分というものに気がついている。そこの成長が描けたところが、1970年を今振り返る意味になっていた。演出が特別うまい映画ではなかったが、夫婦げんかを目にしたアンナが弟の手を引いて、社会に突っかかっていくように早足でズンズン街を行くシーンが印象深い。そしてなによりこの不機嫌なヒロインがよく、最近の映画では一番魅力的な少女だっただろう。やっぱり少女というものは、社会に迎合してニッコリ微笑むより、不機嫌にムッツリしていてほしい。 |
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