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タイトル名 |
接吻 (2006) |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2009-05-14 12:10:53 |
変更日時 |
2009-05-14 12:10:53 |
レビュー内容 |
ヒロインのキャラクターが、私にはもひとつ焦点が絞りきれなかった。一種の片想い物語だ。ブラウン管ごしに一目惚れし、法廷へ、そこで声を聴き、さらに接見ガラスごし、そして抱擁に至る、と順々に接近していくドラマ。近づくにつれて男に対する幻想が高まり、そして幻滅も高まる。世間に対する共犯を夢見るまでの孤独の物語という流れは一貫しているし、サスペンスドラマとしては充分楽しめたが、ときどき彼女の振舞いにつまずいてしまう。たとえばテレビクルーに見せた笑い、かつて男が見せた笑いを反復しているわけだが、男のふてくされたキャラクターと彼女の一途なキャラクターは対極な訳で、またそこがドラマの緊張にもなってたんだけど、ああいう笑いは、馬鹿にしているからこそ世間に対しては見せないのではないだろうか。男のふてくされぶりを一途に反復したってことなのかなあ。あるいは弁護士に「やり場のない怒り」なんて世間に流布している陳腐な言葉を吐くところも、彼女のイメージをしぼませてしまう。自分も世間の一部なんだというおぞましい認識をあわせ持っていれば、こんな言葉は使わなかっただろうし、彼女の世間への嫌悪をさらに深く示せただろう。もちろんこれは小池栄子の責任ではない。彼女は、かつて西田敏行とビールのコマーシャルやったときなんかすごく良かった、こういう感性を映画ではまだ生かしきってないんじゃないかと思ったものだ。あれとこれとで彼女の幅の広さも分かったことだし、今後のご活躍をお祈りしております。 |
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