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タイトル名 |
愛を読むひと |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2010-05-23 12:05:33 |
変更日時 |
2010-05-23 12:05:33 |
レビュー内容 |
彼女の秘密とドイツの歴史との絡み具合がよくわかんなかった。どうも私のなかでピントがピタリと合わない。時代の罪と個人の罪の関係、とか、本当の意味で違う時代を裁けるのか、といった話だけなら、日本にも引き寄せてよく分かるテーマなんだけど、そこに彼女の秘密が入ってくると、かえってぼやけて感じられた。法廷のシーンはいいんだよ。最初にハンナの声が入ってきて、次に遠景の彼女が見えて、という段取りもいいし、裁判長もそう権威的でなく、いかにも戦後の「ナチズムを反省した市民」の代表って感じで、彼の正義感もよく理解できるようになっている。そこで時代の溝が、映画として生きている。個人にとって歴史というものの冷酷さが感じられた(ただほかの元女看守たちはやや造形が雑だった気がする)。法廷のシーンは緊迫していた。でもあの「秘密」によって、話のポイントがずれて縮む印象。なんか重要な点を理解し損なったのかなあ。住まいを定めるときとか、仕事に就くときとか、どうしたってそれを世間に隠し通せない場面が今までにもたくさんあっただろうし、そもそもこの法廷に至るまでの裁判の過程で、告発する側も弁護する側も、それに気がつかないってのは不自然なんじゃないか、やたら書類にサインさせる社会で。それほどいいかげんな裁判だったのかも知れないけど。いや、そういう女性の物語としてそれだけで完結してるのなら作品の設定枠として受け入れられるんだけど、歴史の悲惨に絡んでくるとなると、疑問。 |
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