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タイトル名 |
愛染かつら 総集編 |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2012-02-14 09:49:46 |
変更日時 |
2012-02-14 09:49:46 |
レビュー内容 |
看護婦たちのシーンに女学生を思ったが、考えてみればこの時代、都会における未婚女性の集団ってのは女学校と病院ぐらいか(あと百貨店の店員?)。住み込み女工は地方の紡績工場だし、あと娼妓もあるが、ターゲットだった女性観客が見たがるものではない。都会で未婚女性たちがワイワイやるには、女学校か病院しか舞台がなかったのだ。しぜん看護婦たちのワイワイは女学生の集団に似通っていく。映画は都市部の女性たちを好んで描いた。一方に桑野通子のような「令嬢」がいて、一方に働く看護婦たちがいた。そこに「母一人子一人」という条件の女性を放り込んでみたわけで、それが当時の社会では相当な負い目だったことが分かる。戦前のメロドラマは徹底して「耐えて忍んで」生きる姿を取り上げていった。今から見るとじれったいんだが(誤解を積極的の解こうとはしない)、そういう形で芯の強さを見せるしかメロドラマの作法がなかったのだろう(でも引っ張ったわりには、誤解の解け方がなんというか、あまりにも…)。繰り返されるすれ違い、しかも場所は東京(新橋駅)、京都、熱海と観光名所をつなげていく。熱海が出てきたとこで、病院での演芸の貫一・お宮が思い出され、その男が女を蹴飛ばした場所柄が、しぜん上原と田中に重ね合わされる。どうしても総集編ってことでストーリーだけが浮いてしまい、映画としての味わいは乏しくなってしまった。二枚目の男女が幸福(もしくは死別)へ向けてヤキモキを続けていれな観客は満足したわけで、筋は大事でない。子どもがひょっこり上原に診察を受けたりして、きわどく接近・離反を繰り返していればいい。このあとさらに続いた続編・完結編では、上原が大陸へ出征し、前線慰問の歌手として渡った田中と中国でもすれ違い続けたらしい。もちろん大団円は愛染かつらの木の下でだ。 |
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