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生さぬ仲(1932) - なんのかんのさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 生さぬ仲(1932)
レビュワー なんのかんのさん
点数 6点
投稿日時 2010-06-14 12:19:05
変更日時 2010-06-14 12:19:05
レビュー内容
まあ悪い意味で少女小説的な話で、メロドラマと言っても監督が後に得意としたそれとは大分違う。かっぱらいの街角のシーンから始まり、順に岡田嘉子(産みの母)に近づいていく。次いで子どものほうを描く。両者を並行して描いていって、子どもを強引に連れていっちゃう展開。デパートに勤める母(育ての)とこの子どもが会ってしまいそうになる三越のシーンのあたりに、晩年のサスペンス作家をほうふつとさせるものがなくもない。母があわてて追いかけると、エレベーターの戸が閉まって下降を始めるあたり。階段とエレベーターの追いかけ。車の後部座席から子どもが母を見かけるが、すぐ目隠しをされてしまうとか。豪邸の子どもと、借家の母との共感シーンなんかもいい。何かを感じ合うみたいなところ。この後で子どもは外に忍び出て酒屋の自転車にぶつかってしまう。後年自動車事故を好んだ監督は、この頃は自転車で我慢した。この酒屋が私のノートによると三井弘次(当時なら秀男)。いまざっと調べた範囲では確認できなかったが、前年から与太者トリオのシリーズが始まって人気が出ており、トリオの一人安部正三郎が本作に出てるのは確認できたから、三井が出てても自然。いま残ってるフィルムのうちでもかなり初期の三井ではないか。で話のほうは満洲浪人の髭面男が出てきて善玉として仕切る(たぶんこれ岡譲二って、小津の『非常線の女』の人)。当時のヒーロー像ってのが分かる。監督これが長編三作目だそうだが、岡田嘉子を使えるほど期待されていたわけだ。
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