|
タイトル名 |
ピノイ・サンデー |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2011-10-10 11:03:53 |
変更日時 |
2011-10-10 11:03:53 |
レビュー内容 |
屋外に置かれた家具って興奮させる。『太陽の帝国』や『ギルバート・グレイプ』が思い出されるし、私のテレビ単発ドラマ歴代ベストワンである別役実の「あの角の向こう」では、気の弱い西村晃の引越し荷物の家具が家が建つべきだった土地に放置された。最近観たばかりの中国の内モンゴル映画『冬休みの情景』ってのでも、雪の積もった路上に椅子が数脚置かれていて、登場人物たちが長回しで10分ほどそこでダベるシーンがあった。そしてこれ、路上に放置されてる真赤なソファ。もうそれだけで見事に映画の素材になっている。台湾へ出稼ぎで来ているフィリピン人コンビが、それを自分の宿舎まで運ぼうとする話。異国での門限のある暮らしの中で、ささやかな寛ぎを求める気持ちが、その赤いソファに集約されている。ちょっと望郷の思いも込められた、ゆったり腰を下ろせる場所。それを街中で運んでいるとバイクのおじさんが突っ込んできたり、飛び降り自殺しようとしているビルの脇を通ると受け止めに使われそうになったり、コメディとしてのいろいろな趣向が次々に起こり、運搬を邪魔していく展開。土地勘があればもっと楽しめる映画かもしれない。川を越えるところで力尽き、というか心の切り替えが起こり、陽気な歌を歌いながらソファに乗ったままボートのように流れていく。彼らの心もコセコセした現実から広々したところへ流れ出たようで、いいシーン。それにしても室内にあるべき家具が屋外に出ただけで、なんで映画はああイキイキするのだろう。 |
|
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
ピノイ・サンデーのレビュー一覧を見る
|