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タイトル名 |
素晴らしき哉、人生!(1946) |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2013-12-28 10:04:09 |
変更日時 |
2013-12-28 10:04:09 |
レビュー内容 |
これ、スモールタウンでくすぶっている若者の鬱屈が底に流れている。世界に出たいけど、この町にとどまっていて、弟は軍で栄光を浴びている。そこらへんの隠し味の苦みが、終盤で金を紛失したおじさんを口汚くののしる緊迫の場の下地になっているんだろう。そういう薬味が理想主義の甘味を締めている。自分がいなかった世界の夢が映画の眼目で、映画ならではの楽しみに満ち、面白くはあるんだけど、でもちょっと…とのめり切れない。鬱病の人だったら、自分がいなかった世界がパラダイスになっている夢を見て、やっぱり僕なんかいないほうが…とさらに鬱をこじらせるだろう。そう嫌味に見てはいけない映画で、あくまでファンタジーとして評価すべきだろうが、戦前の『スミス都へ行く』では、大衆からの電報の束という薬味がゾクッとするほど効いていたのに、こっちでは大衆がニコニコと寄付金を募らせてきて、いささか甘味料過剰に思える。大恐慌の記憶がまだ生々しかった戦前と、戦勝直後の気分の違いが出たのか。悪の駆動がバリモア一人に集中してしまっているのも弱い。…などとブツブツ言いながらも終盤で号泣している自分が許し難いのだが。 |
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