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タイトル名 |
僕らはみんな生きている |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-12-02 09:47:06 |
変更日時 |
2011-12-02 09:47:06 |
レビュー内容 |
同時代と渡り合おうとしている邦画は、このころ貴重だった。ただの自虐趣味に終わってないところがいい。当時の日本、たとえば60年代末の政治的興奮のヒステリーは遠のいたが、そういう安穏ゆえになにやら鬱屈を蓄積している。エコノミックアニマルぶりを自嘲してはいるんだけど、これしかできない、という哀しみもある。そういう鬱屈を抜けてラストのヤマザルとの対決で「君たちが政治的・軍事的に体を張ってるように、我々は経済で体を張ってるんだ」という手応えに至る。けっきょくこの時代の日本人が最後に拠りどころにできる手応えは、この「頑張ってるんだ」ということだけなの。しかし少なくともそれだけはある。それなら嫌と言うほどある。実は、日本は戦後平和でやってきた、って言っても、今ではどんなものでも半軍事的商品になってしまう、という後ろ暗さもある。井戸では儲からない。なかなか同時代と向き合うってのは単純なことではない。そういう日本の鬱屈とわずかな誇りが、パスポートをかざしながら市街戦の中を「我々は日本のサラリーマンです」と叫びつつ横断していく戯画に集約された。発展途上国の人々を、変に目が澄んだ理想像にしてないのもいい。 |
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