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タイトル名 |
ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女 |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2014-01-09 09:23:22 |
変更日時 |
2014-01-09 09:23:22 |
レビュー内容 |
硬質な肌触り、それでひんやりしている。とりわけヒロインのアナイスとジューンの凝視。相手を見抜いてやろうという凝視と、そう簡単に理解されないわよ、と気を張っているために見返す凝視でもあるか。自分の輪郭を絶対侵させまいとする誇りのようでもあり、傷ましくもある。とにかく日本にはない視線。この視線のドラマの迫力が強烈で、ジューンなど「尽くしたのに捨てられる哀れな女」という新派的な弱い存在になりかねないところなのに、彼女が残った二人を裁いているドラマでもあった。彼女、その後社会奉仕の仕事に入ったそう。この閉じた人々の物語で、世の中が姿を垣間見せるのは、ドイツのラジオとこの社会奉仕のナレーションのとこだけ。社会が確実にこの人々を閉じ込めつつある中で、ジューンだけは主体的に社会との関係を回復していく。音楽や映画が同時代の動向を示している。登場する人々がみな毅然としている。駄目な旦那でさえも。 |
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