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タイトル名 |
おろしや国酔夢譚 |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2012-04-10 09:59:31 |
変更日時 |
2012-04-10 09:59:31 |
レビュー内容 |
まじめに作られた映画で感動してやりたい気持ちはあるのだが、シナリオ術の低下は無視できない。映画のシナリオを作る伝統が、どこかでプツリと途絶えてしまっている不安を感じた。邦画のこの手の大作って、ストーリーのダイジェストになっちゃうのね。映画として楽しませようという気持ちがない。はたして観客はあの手の、通り一片の暴風シーンなんか見たいと思ってるだろうか。どうせスペクタクルで見入らせる金はないんだから、漂流しているとこから始めて、シナリオのなかにうまく粋に経過を織り込めばいいじゃないか。そういうとこで金を使わずにシナリオを構成するのが邦画の伝統だったはずだ。そんなとこより、河の氷が溶けるシーンなんかのほうが映画として十分盛り上げられそうなのに、西田敏行が岸辺にたどり着くまでを描かない。河が動き出す感動を映画は捉えない。西田の顔に河がオーバーラップするの。変に説明的なとこがあるかと思うと、彼らの進行を分からせてくれる地図を出さない。そういう「別の感動」への手助けとなる説明は、はしょらなくてもいいのに。小さな個人と大きな国家、小さな漂流と大きな歴史、そんな対比が芯の話と見た。海に向かって波に逆らって吹く風がすさまじかった。主人公が世界を知っていく感動や、望郷の願いやらは、も一つ焦点が定まらなかったみたい。 |
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