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タイトル名 |
夏の嵐(1954) |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2012-06-30 09:48:35 |
変更日時 |
2012-06-30 09:48:35 |
レビュー内容 |
この監督は、異世界の闖入で始まる映画が多い。『山猫』は祈りの場に兵士の死体、『地獄に堕ちた…』はブルジョワの誕生パーティーにナチの兵士、『家族の肖像』はもう闖入そのものが主要なモチーフで、本作はオペラ劇場に解放を呼びかけるビラ、となる。緊張で張りつめ、静けさ・秩序を保っていた世界が、崩れ始める予兆。劇的効果満点で、下り坂にかかって、ぎりぎりに保っていたものをプツンと切るところから、ドラマが始まるわけ。そして全体が没落の傾斜を演じていく。軽蔑していた密告者への没落。しかしラストの処刑によって、男を「オトコ」にしてやった最後の愛情とも取れるわけで、すべてがみじめに没落していく中でそこだけ高貴なものを輝かせようとした女の凄みみたいなものを、アリダ・ヴァリが演じきった。というかもうこれは監督の資質なんだろうな。売春婦一人を画面中央で捉えるところでも、実に格調があって堂々としている。生まれながらの貴族ってこういうものか。 |
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