|
タイトル名 |
地下室のメロディー |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2010-12-20 10:25:25 |
変更日時 |
2010-12-20 10:25:25 |
レビュー内容 |
初老のギャングは、最後に一発当てたいと思っている。青年は、現在の惨めな境遇から抜け出したいと思っている。それぞれに鬱屈があって、しかし一人では現金強奪はできない。冒険には若さが必要よ、と妻にたしなめられている。若さのある青年には、計画がない。補い合って立てられた計画。それが危うくなっていくのは、青年の方が豪奢な世界に浮き足立ってしまうから。義兄が自分のこととして心配していた事後の不安が、計画の最中に浮かんできてしまう。シャルルにとっては金に目的が集中していたが、フランシスにとっては、こういう暮らしをしてみたい、だもんだから、真剣味が弱かったんだろうなあ。フランス映画は、途中いささかモッサリしてたり「よく考えるとヘン」があっても、ラストをピタリと決めてくるので印象に残るのが多い、これなんかその典型。刑事たちの話し声とゆっくり歩き回る足だけで、キリキリと縛り上げるように緊張を高めていく。犯罪映画のラストなのに、主人公たちは走らない・どならない・しゃべりさえしない・もちろん銃も撃たない。ボーイの驚きの声が聞こえてくるだけ。二人は、あと鞄を渡すだけの距離であったプールをはさんで向かい合い、自分が手にできなかった大金をただ見守っている。ゆっくりと花が開くような札束の動きのなまめかしさ。手の届かない高慢な女のような花が次々と開き、二人の間の隔たりを花畑に変えていく。 |
|
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
地下室のメロディーのレビュー一覧を見る
|