|
タイトル名 |
天空の城ラピュタ |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2010-10-07 10:12:52 |
変更日時 |
2010-10-07 10:12:52 |
レビュー内容 |
巨大な樹木がラピュタの崩壊をとどめる、というところに宮崎のモチーフの統合が感じられた。宮崎には大きく二つのモチーフがあり、ひとつは大地に根を張るどっしりとした不動性、もうひとつはそれとは逆の飛翔願望。しばしば別々に描かれるこの二つのモチーフが、本作ではラストでひとつになっている。根を張ることで飛び続けられるというイメージ、これを発見したとき宮崎は嬉しかっただろう。あと、姫と悪漢が冷たいメカニックな内部に踏み込んでいくと、有機的な根や雑草が増えていくイメージ。冷たい絶対権力として君臨していたラピュタの中心部を植物が浄化していった、というイメージなのか。いや、そういった理屈を超えた本質的な感動、室内に外界が入り込むことの驚きを伴った興奮がここにはある。なにかタルコフスキーに通じるものを感じた。今でも、室内で大麻栽培してて逮捕された、ってニュース映像見ると、ラピュタを思い出しホノボノとする。善と悪の対決後、崩壊、樹木によって楽園=廃墟のみが生き残る。文明は崩れても文化は残る、ってことか。本作はまだまだ豊かなイメージにあふれていて、海賊のママと姫を「おさげ」でつないでいること、ロボットのアンバランスな顔の効果、海賊船が布製であること、水の中の廃都…。これらは、それ以前それ以後の作品に関連がありそうなものもあり、宮崎世界のイメージ索引のような映画にもなっている。 |
|
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
天空の城ラピュタのレビュー一覧を見る
|