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タイトル名 |
黄金の腕 |
レビュワー |
ゴシックヘッドさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2010-01-14 23:45:23 |
変更日時 |
2012-03-02 02:13:23 |
レビュー内容 |
人が何かに溺れてしまうということはとても恐ろしいことです。 僕自身が依存傾向にあるので溺れることの恐怖は強い。 溺れるというのは先が見えないし出口が真っ暗な感じがして恐ろしい。
そんな依存症の恐怖があります。
一度依存症になると死ぬまで依存症であると聞いたことありますが、 この映画もそれくらい深刻です。 薬に溺れ、人に溺れて大変な泥沼化します。
主人公フランキーは様々な悪い人間に溺れてゆきます。フランキーは誰も信じられる人がいない状況で、 チビは良い友達でしたが、フランキーが逮捕されるキッカケになってしまいました。 麻薬売りの男とか本当に悪い人間で、ああいう人間は、もし溺れている人を見つけるとそれを餌にどんどん利用してきます。人の弱点を餌にするような人間と一緒にいると泥沼にはまります。 依存したり利用されるのは自分が弱いからなんですけどね。
この作品の中では誰も何も信用できないのが砂漠のように恐ろしい。あの医者が持ってきた「背骨を矯正する機械」を見れば、それはこの作品の中の胡散臭さを代表しているようです。
マリーは奥さんと比べ、献身的な感じで、一緒に苦しみ、フランキーの状態が良くなることを神に祈ってくれたから、とても良い女性のように僕は感じました。唯一母性が表れていた人物かと思います。
奥さんですが、フランキーの人生を狂わしている張本人の一人です。 僕にはあの奥さんの存在こそがフランキーが麻薬に手を染めてしまった原因だと思えてなりません。
奥さんは嫌な存在ですが、最後に笛をピー!と吹きながら飛び降りる場面では、何か大変なものを心に抱えていたのだとも思えて、可哀想にもなってきます。「愛しているわ、、、」と最後につぶやく奥さんを見ると、「愛って何なの?」みたいな気になります。 奥さんの言う愛は愛ではなかったのだと思いますが、それを愛だと信じていた奥さんも気の毒に思えます。 人を追い込む愛というのはあり得ないからです。 依存の深刻さとそこに人間の心の「闇」の部分を見事に描ききった作品かと。 ジャズ音楽はフランキーが溺れてゆく様を効果的に表現していました。
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