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タイトル名 |
楢山節考(1958) |
レビュワー |
にじばぶさん |
点数 |
4点 |
投稿日時 |
2012-03-26 01:36:39 |
変更日時 |
2012-03-26 01:55:44 |
レビュー内容 |
かの有名な姨捨(おばすて/うばすて)山の話を映画化したもの。
有名な題材なだけあって、いかにそれを映画として演出するかに注力している。 陰鬱な雰囲気を出すために、木下惠介監督は様々な工夫を本作で凝らしている。
それが一般的に評価されたか否かは別にして、奇をてらったかのような演出がどうにもわざとらしい。 具体的には、ほぼ室内セットで撮られた演出にあざとさを感じ、そのあざとい演出に、終始、意識がいってしまった。
ただし、ラストシーンだけは屋外で撮影されており、この部分についてはさすがの迫力。 しゃれこうべがそこかしこに転がり、不気味な霧が辺りを覆う。 その斜面に老婆を捨ててくる。 この物語のラストシーンに相応しい、不気味で陰鬱な映像に圧倒された。
しかししかし、そもそも老人を捨てるなどという因習自体に腹が立つ。 というか苛立つ。 ならわしだからといって、当然のように行っていた当時の村人に苛立ちを隠せない。
「みんながやっている」 「かわいそうかもしれないけど、やるのが普通だから」 「現在のならわし(制度)に別に疑問もない」
そんな風にしか物事を考えない人間が、閉鎖的な村社会の中で、平然とやっていた悪しき行為。
普通だからやる、みんなやっている、そんな日本人特有の思考回路が、最も悪い方向で現れたのが、このおばすてという行為だろう。
たとえ自分の考えや行動が、少数派であって、周囲から普通じゃないとか言われたとしても、自分自身が正しいと思えば実行し続ける、そんな人間になりたい。 この映画を観て、改めてそう思った。
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