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ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 - にじばぶさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ある映画監督の生涯 溝口健二の記録
レビュワー にじばぶさん
点数 8点
投稿日時 2007-09-02 22:41:32
変更日時 2021-06-03 21:39:14
レビュー内容
溝口映画ゆかりの人達が、次から次へと39人も登場する。

本ドキュメンタリーは、
1.溝口作品の出演者達を、映画以外では知らない
2.溝口作品の出演者達の、その後の姿を全く知らない
3.溝口作品を沢山観たことがある
の3つの条件を満たしていれば満たしている程、楽しめるに違いない。
それ以外の人が観ても、何てことのないドキュメンタリーか、もしくは、ただ単に古い人が沢山出てくるだけの退屈なインタビュー映像集になってしまうだろう。

また逆に、現在を起点に考えれば、本作は30年以上も前の作品となるわけで、現在は大半が亡くなられた人達ばかりでもある。
そういう点で考えても貴重なインタビュー集なわけで、特に宮川一夫、川口松太郎、依田義賢、増村保造等の映像を観れたのは良かった。

さてさて、本作を観る上で個人的に一番楽しみにしていたのが、溝口作品ゆかりの女優達のその後の姿をおがむこと。
特に、木暮実千代、山田五十鈴、入江たか子辺りのインタビュー映像は楽しみで仕方なかった。
39人のインタビューの中で、一番衝撃度が高かったのが木暮実千代。
『祇園囃子』でその妖艶さに打ちのめされた私は、すっかり木暮実千代の虜(とりこ)になった。
そして本作で60歳近くになった彼女と“再会”ができるわけである。(実際は、既に『男はつらいよ』で晩年の彼女を観ていたのだが、全く記憶にない)
それはとても怖くもあったが、同時にそれ以上にわくわくもした。
そして、『祇園囃子』の過去の映像の直後に、“その後”の彼女が登場・・・
おぉぉぉ・・・・
うーん・・・
これが正直な感想。
でもとても嬉しかったのも事実。
何故なら他の女優達の“その後”が、妙に神経質っぽかったのに対して、木暮実千代のインタビューの受け答えは、とても明るかったから。
“妖艶さ”の面影は消えていたが、親しみやすいマダムな感じで、これはこれで楽しめた。

しかし、インタビューをした監督の新藤兼人さん、「祇園囃子は力の抜けたいい写真でしたね」って、それはないんじゃないの??
それを聞いた木暮実千代も、同意しかねていたではないですか!
もちろん悪い意味で言ったのではないだろうけど、個人的には溝口作品の中で一番好きな作品なだけに、木暮実千代同様、私も同意しかねますねぇ~
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