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タイトル名 |
スラムドッグ$ミリオネア |
レビュワー |
せいさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-11-08 04:15:04 |
変更日時 |
2011-11-08 04:15:04 |
レビュー内容 |
インド映画の特徴なのかな、モダンで社会派的な語り口のベースに、伝統説話のような型組が使われている。「花咲かじいさん」とか「こぶとりじいさん」みたい。 つまり、暴力と行動力を基盤とする兄、憧れと想い出を基盤とする弟、の対比。
ドライで現実的な兄は、マイペースで夢想家な弟が、幸運と粘りで手に入れた憧れのもの(スターのブロマイドや初恋の少女)」を、みんな現実的な金のために巻き上げてしまう。 最後にはどちらも大金を「得る」が、兄は物理的な札ビラと銃弾の雨の中、弟は小切手(チケット)と拍手の雨の中。
それでも、道徳説話と違っていて救いになるのは、兄が弟の在り方をついには認めたこと、つまり心通い合う部分がまだ残っていたことだろう。 スラムでの暮らしも、その後の悲惨にすぎる放浪も搾取も、仔猫のように闊達に、野良犬のようにしぶとく元気に、一緒に生き抜いてきた兄弟なのだから……。
悲惨なインドの現実社会と、だからこそ夢見られる「お伽噺」を、ストーリー面でも映像面でも、巧みに組み合わせた佳作でした。 |
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