|
タイトル名 |
悪人 |
レビュワー |
Balrogさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-04-08 15:35:09 |
変更日時 |
2011-04-08 15:35:09 |
レビュー内容 |
ラストシーンに全てが集約されている。被害者、被害者の遺族、加害者(正確には光代)、加害者の遺族(スカーフ)、世間一般(タクシーの運転手)が殺人現場に一同に会し、それぞれの思いが交錯する。光代の「そうなんですよね。彼は悪人なんですよね」は皮肉、嘲笑であり、納得や割り切ることはしていない。こういったさりげないが凝っている構成が随所にみられ、面白い。安定した固定カメラを中心に、さまざまな手法、ショットが使われており、監督のひとつの到達点のような映画であった。完成度の高さ、役者の演技の上手さは一品。妻夫木はそんなに演技が上手い印象ではないが、ハマると素晴らしい。満島は最早圧巻。しかし多く指摘されているように、音楽の饒舌さは目に、もとい耳に余る。「悪」の相対性を表現しながら、実はそれはステレオタイプな描き方ではないか、という批判も確かに妥当するであろうが、この作品は被害者(そして増尾)を悪人に仕立てるというよりも、悪人というものがそもそも存在するのか、という問題提起のように私には思われる。 |
|
Balrog さんの 最近のクチコミ・感想
悪人のレビュー一覧を見る
|