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タイトル名 |
レ・ミゼラブル(2012) |
レビュワー |
えんでばーさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2024-12-30 10:25:05 |
変更日時 |
2024-12-30 10:25:05 |
レビュー内容 |
日本でミュージカル映画の感想を見ると、枕詞のように「ミュージカルは苦手ですが」という前置きが置かれるんですね。私なんか、それを見るとなぜ苦手なくせに見るんだろう、と思ってしまいます。一部例外もいるみたいですが、映画鑑賞は苦行でもないし、自分で見る見ないを選べるんです。でも、それでも見てしまうのがミュージカル映画。苦手だって見たくなる、それほど魅力的なお話が繰り広げられるのがミュージカル映画なんです。「レミゼ」はその最たるものですね。 「レ・ミゼラブル」というお話、ああ無情とも訳されたヴィクトル・ユーゴーの魅力的なお話は、デュマのモンテ・クリスト伯(巌窟王)と並んでフランス19世紀文学の古典として日本でも子供の頃から親しまれてきました。ただ、ここの感想読むと読んだことがない人が多いのが意外でした。 ミュージカル映画は、通常、地のストーリーに、要所要所で歌とダンスが入ってくるものですが、この映画は違います。セリフが大体どんな短いものでも節をつけた音楽で、地のストーリーで供される「普通の会話」がまずない。そして一曲一曲が果てしなく長い。欧米ではこの長さが普通らしいんですが、日本人にはつらい。これは、日本の洋系音楽の定型(イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ)には合っていないことが原因らしいんですが、とにかく長く感じます。歌と思わず、吟遊詩人が詩を朗々と歌い上げるものなんだと思って諦めるしかない。このミュージカルで、日本人にも合う感じの盛り上がりと曲長さはピープルズ・ソングくらいでしょうか。自分のことを切々と歌い上げるのはあれは曲ではなく、詩の朗読だと思いましょう。 ヒュー・ジャックマンも、今回は歌い上げに徹しています。得意のダンスは封印。アン・ハサウェイその他の登場人物も、顔をアップで映して延々歌い上げるだけ。だから、いろいろカメラワークを工夫していても一本調子になってしまっています。 キャメロン・マッキントッシュの舞台版は、もっとメリハリあったような気がしていますけれども。 あと、映画として長いです。158分もある。そして、後半はラマルク将軍の死をきっかけとした反乱に舞台を取られ、ジャン・バルジャンは後景に引っ込んだりしてしまって、構成があまりよくない。 とはいっても、この反乱のシーンが本当にキャッチーで、人の胸を打ってしまう。 ラストシーンに流れるピープルズソングとフランス人民のシーンは、更に倍掛けです。 だから、長い、歌いっぱなし、最後は感動という王道とは言えるんですが、ミュージカルとしてはダンスがない、地のセリフがほとんどないといった、やっぱり異色作で、一度は見ておくべきものなんですかね。ミュージカルが苦手な人でも。 |
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