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タイトル名 |
37セカンズ |
レビュワー |
たくわんさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2020-02-13 13:27:50 |
変更日時 |
2020-02-18 14:35:15 |
レビュー内容 |
【前置き】 日経紙の映画評を読むまで、私は本作の事など全く知らなかった。 海外では極めて好意的に受け止められ、幾つかの著名な映画祭で賞まで獲得している本作、 配給側のプロモーションが下手なのか、難しい題材を扱っているだけに声高に宣伝するのに及び腰だったのか、 真相は知らないが(知りたくも無い)、この様な作品が劇場公開2日目の土曜日の映画館で観客が私も含めて4人とはいったいどういう事なのか。 日本映画界は本当に優れた作品を日本の観客に広めよう・もっと観て貰おうと思っているのだろうか。 韓国映画がアカデミー作品賞を獲得する歴史的な出来事があった直後だけに、私は情けなく・また恥ずかしく思った。
【本題】 37Seconds=37秒とは、主人公が生まれてから呼吸するまでに掛かった時間の事。 カップラーメンの麺がまだ柔らかくもならない様な僅かな時間、呼吸をしていなかった為に主人公は脳性マヒとなった。
私はスクリーンを通じて主人公の人となりに思いを巡らしながら、既に故人となられた脳性マヒの叔母の事を考えていた。 叔母はとにかく毎日を一生懸命生きている人で、何でも自分でしなければならなかったが為に腕っ節は男の私よりも立派で、 なんだかとてもカッコいい人だった。
本作の白眉な所は、障害を持ちながらそれでも強く生きる姿をお涙頂戴的に描いているのでは無く、自分の新しい可能性・ 知的・性的好奇心を満たしたいという、人間なら誰でも考える当り前の事をさりげなく表現している事。 中盤以降の世界観の拡がりも素晴らしい。 特に千葉へのドライブから、まさかタイへ舞台が拡がるとは思ってもいなかった。 ここは、主人公が様々経験を通じて自らの内面が拡がっていく事とも連動しており、 あたかも映画のレベルがギアを数段抜かしで上げながらスピードアップしていくかの様だった。
主人公の女性は実際に脳性マヒを患っておられる素人の女性、「素晴らしい演技」とまでは流石に言えないが、 あの佇まいは絶対に健常者の俳優さんでは醸し出せない。 脇を固める俳優陣の演技も素晴らしい。 特筆すべきは母親役の女優さん。とても演技とは思えない真に迫る様子は圧巻だった。
本作の監督さんはアメリカで修行された方らしい、殊更に弱者に阿らない演出の仕方はさすがアメリカ仕込みといった所か。 主人公と介護士さんを深い関係にさせなかった事も高評価。 もしそうなっていたら、途端に陳腐な作品になっていたと思う。 次作に期待大。 |
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