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タイトル名 |
ヒストリー・オブ・バイオレンス |
レビュワー |
ワイルド・サイドでキャサリンさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2013-05-18 06:40:36 |
変更日時 |
2013-05-18 06:40:36 |
レビュー内容 |
かつてこんなバイオレンス映画があったんでしょうか?この映画で主人公が発動するバイオレンスは、基本的には家族や親しき者を守るために発動されるわけですが、敵を成敗したことによるカタルシスの一切をこの映画は禁じています。ではどんな感情を持ってこのバイオレンスを受け止めればよいのか。家族を守るための暴力が、逆に家族との溝を深めてしまうというパラドクスを孕んでいる為、物語的には「やるせない暴力」とでも表現できそうなものですが、そんな叙情性の一切を配した画面が、バイオレンスシーンには配置されます。その辺りにこの監督の野心なのか資質なのか、並みの映画にはない力が漲っていることを感じます。先に、カタルシスが禁じられていると書きましたが、物語が進行するより以前にこの話が英雄譚ではないだろうという予感を私たちに抱かせてしまう演出の妙。またジョーイの圧倒的で的確な殺戮スキルは思わずランボー辺りを思い出しそうなところですが、そんな楽天的な連想は当然許されず。リッチーの最期におけるユーモアからはタランティーノを想起すると瞬時に否定され。と、バイオレンス映画の歴史から屹立せんとする監督の意志とジョーイの眼差しに、まさに映画の記憶の更新をさせられてしまった気分です。 |
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