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タイトル名 |
道(1954) |
レビュワー |
黒猫クックさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2009-11-14 00:17:04 |
変更日時 |
2009-11-14 00:45:17 |
レビュー内容 |
傑作。
年に何本か買う大昔の映画でたいてい出くわす、序盤のだるさとすべてが説明的であろうとすることとの重畳的な映像効果。確かに、私の中の現代映画をイメージした規矩準縄による、異質なものとの差違を簡単には乗り越えることを許さない時間が続いた。しかし、それはまあ古い映画を見ると必ず感じることであるし、それが醍醐味の一つともいえる。
この映画でももちろんそれは当然感じたが、そもそもが異質な人間たちを描写しているため、異質感はマスキングされてだんだん不感症になってくる。当時それを狙った演出なんかされていないだろうけど、50年以上たった今生きている人間が見たとき、狙っていないはずの、存在しないはずの効果が出現している。っていうかスゴイじゃん。
ラストシーンの、ザンパノの嗚咽に込められた様々な気持ちをどれだけ汲みとれたかはわからない。わからないし、どこまでの感情を意図しているかを考え始めるといろいろな痛さが涌いてくる。その痛さって、どんな記憶から涌いてくるんだろう。
こんな波瀾万丈の人生を送った覚えは全くないのに、どうして砂にまみれて身を捩るザンパノから痛みを感じるかわからない。恋でも愛の話でもないが、悪でありすぎることも善でありすぎることもない、人間の本性をきちんと受け手に投影して、痛みを感じさせるというのは傑作の証明だろう。
こういう映画にまれに当たるから、スンゴイ安売りしている白黒映画を買ってみるのはやめられない。 |
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