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タイトル名 |
イノセンス |
レビュワー |
黒猫クックさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2008-08-07 21:36:54 |
変更日時 |
2010-05-09 13:37:07 |
レビュー内容 |
見事な本歌取りだろう。これは過去の優れた要素を積み上げて洗練させて行く技法では押井守以上に優れた監督はいないのではないかと感じさせる。また、攻殻機動隊の一キャラから全編に独自の雰囲気を作り出しているところにも良さがある。
本作の哲学的な台詞や、疑似科学技術などは現実世界では意味を持たず、鑑賞中はその世界にどっぷりと浸かり込むための良いアクセントとして使われている。ここに過剰な意味を読み解こうとするとついて行くのが困難になると思われる。本編の内容にリンクはする範囲でそういった文章的ギミックは機能するが、本当に哲学的な部分で哲学的かというと必ずしもそうではないととらえることも可能。
実はテーマも結末も消化していないが、謎要素をちりばめることで「製品としての完成」に成功している作品もある。本作の場合はそういった雰囲気の醸成にあるんだか無いんだかわからない哲学的な意味をそのように使っている。そこにもちょっとした技巧を感じる。
ストーリーは前作よりも筋があるため非常に観やすくなっているのも特徴。終盤のループは面白いと感じるかくどいと感じるか、あるいは作為を感じてしまうか。多様にとられるであろうことが容易に想像されるが全体としては非常に良く出来ている。
映像技術の高さもただごとではなく、素直に楽しめる作品。哲学的な部分や疑似科学が鼻につく人もいるかと思うが、この部分に意味はないし子供だましのたぐいか。それも鑑賞中は作中の人物になったつもりでそれらもひっくるめて受け入れてしまえれば凄い映画ではないかと思う。 |
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