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タイトル名 |
ゴッドファーザー |
レビュワー |
アンドレ・タカシさん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2012-01-02 04:11:02 |
変更日時 |
2012-01-25 12:46:48 |
レビュー内容 |
もちろん彼らがやっていることには感心しませんが、人間ドラマとしてこれほど真に迫ってくる作品は本当に稀だと思います。映画には発砲シーンが付きもので、ほとんどの作品ではエンタテイメントの要素ですが、本作の銃弾は重さが違う。撃たれたら本当に死にますね。この作品が醸し出す空気がそのように見せていることは明らかです。イタリア系マフィアの起源には詳しくないのですが、移民として自分たちの家族を守ることに端を発した組織なのでしょう。だからなのか、組織も家族と同様に「ファミリー」と呼称するところが啓示的です。老いて行く棟梁、やる気は充分だったが直情型で資質が伴わなかった長男、そして堅気として登場し、次第に自らの才能に目覚めて行く弟。この3人の対置がストーリーの流れを作り、同時に大河的な趣きを形成します。特にアル・パチーノ=マイケルの変貌には目を瞠りました。病院で無防備な父を守った初仕事で、おどおどしながら非凡な判断力を見せる。次はいきなり敵対マフィアの暗殺という大仕事。シチリアに逃亡して現地の娘と結婚するが、ニューヨークの抗争が飛び火して妻を失う。マイケルの変化を決定づけたのは、敵対マフィアの暗殺では無く、最初の妻の爆死だったと思う。大切なものを失わない為には何をすべきか。それが彼の行動原理になりました。多くのフィクションでマフィアの抗争劇は観てきました。その抗争のほとんどは権勢や金銭欲が動機になっていましたが、本作からは不思議とその匂いがしません。その代わりに、家族=「ファミリー」を守るという動機を強烈に感じます。それが製作から40年を経ても、この作品が特別な場所にいる理由だと思います。家族を守るのは父親=ファーザーの勤め。改めて「ゴッドファーザー」というタイトルの重みに思い至りました。30年ぶりの鑑賞でしたが、やはりこれには傑作という言葉がふさわしい。日本の同業者たちも昔は「○○一家」でしたが、そんな呼び方しなくなりました。 |
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