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タイトル名 |
天国と地獄 |
レビュワー |
アンドレ・タカシさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2011-08-24 21:01:18 |
変更日時 |
2011-08-25 11:24:45 |
レビュー内容 |
天国のような豪邸に住んでいる人が地獄のような目に遭うのかと思っていたら、誘拐犯の生活環境が地獄なんですね。いや、いくつかの意味を兼ねているのかな。その格差構造が犯行の動機ということで、松本清張が原作を書いているような社会派誘拐サスペンスの体裁です。三船敏郎が演じる被害者の権藤さんはただの成金ではなく信念と気骨で昇ってきたタイプで、その人柄をじっくりと描写する。後半は誘拐犯が暮らす劣悪な生活環境も描写して二人を対置させます。つまり、天国側と地獄側のそれぞれの事情を説明するんだけど、どうもバランスが良くない。丘の上の家を見て思い付く計画は、行き過ぎた僻みとしか思えない。「幸せな人を不幸にするのは楽しい」とまで言われると病的で一般論に戻せません。この勝負に権藤さんが負ける要素は無く、拘置所の面会室に降りるシャッターが見せるものは単なる断絶です。ある意味、身も蓋もない終わり方。そこまでやって初めてこの大仰なタイトルに辿り着いた感はあるが、社会性を持ったテーマを表現しているような作品では無かったです。それでも演出のテンポや追い込み方は秀逸で楽しめました。優れた娯楽作品という意見です。 |
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