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タイトル名 |
苦役列車 |
レビュワー |
アンドレ・タカシさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2014-01-26 23:08:45 |
変更日時 |
2014-01-26 23:24:29 |
レビュー内容 |
どうしようもない奴を解き明かす。そんな映画でした。この男、女性を性行為の対象としか思っていない。その言動が潔く徹底していて、呆れるを通り越して、ちょっと違う目で見てしまう。初作「エイリアン」でアンドロイドのアッシュが「純粋だからな」とエイリアンを讃えた気持ちが分かります。性犯罪者の親父を否定しながら、同じ性向が顔を覗かせる。親父への反発心で辛うじて持ち堪える状況だから、緊張感が途切れずとても見応えがありました。 キーパーソンは足を怪我したタカハシでした。主人公は彼を嫌っていました。「若者は夢を持て」「夢なんか持っても何にもならない」。その時の気分で変わる言動に芯は無く、主人公じゃなくとも敬遠したくなる男です。でも、主人公が彼を嫌っていた理由は「同族嫌悪」だと思います。他者に誇れるものなど無いのに自尊心だけは強い。タイプこそ違え、二人は本質に於いて同じです。自分と同質だから、主人公にはタカハシの虚言が透けて見えました。同時に、自分の負の姿も見ていたのだと思います。 主人公が「何か書きたい」と言った時、タカハシは「中卒の分際で」と罵りますが、彼の中で何かが動いた事が分かりました。タカハシに取っても、主人公は同族だったのだと思います。3年後、なりふり構わず「歌」に挑んでいるタカハシを見た主人公の衝撃は分かり易かったです。同族が嫌悪の対象ではなく、お手本に変貌しました。彼もなりふり構わず、パンツ一丁でペンを取りました。読書と風俗と強姦未遂以外で、初めてともいえる能動的アクション。苦役列車の終点が見えたような気がします。 私は特に前田敦子のファンではありませんが、本作の彼女はとても良かったです。主人公があんな奴なもんだから、言葉は悪いけど「掃き溜めのツル」のような清涼感で、顔が見える度にとホッとさせてもらいました。 ついでに言っておくと、文筆業へ歩み始めたからと言って、主人公が前田敦子の手を舐めなくなる保障はありません。彼は純粋ですからね。 |
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