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タイトル名 |
マレーナ |
レビュワー |
アンドレ・タカシさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2011-03-24 22:16:47 |
変更日時 |
2011-03-29 01:39:58 |
レビュー内容 |
勝手に「青い体験」的な映画と思っていた自分は大馬鹿野郎でした。いや、途中まではそんな流れだった。主人公のマレーナに対する憧れの根底にあったのは純情ではなく劣情で、マレーナの周囲で彼女を揶揄する男どもと本質は変わらなかった。しかし、戦争が始まると様相が一変する。ストーキングするほどマレーナに執着していた主人公は、奇しくも未亡人となった彼女の苦悩をストーキングすることになった。肉体への憧れが、心情の共感へと変化する。性欲の対象でしかなかったマレーナの心の内側を覗くことで、周囲の大人たちの醜い部分を客観視する視点が生まれる。それも大人への階段だった。彼があと数歳年長であれば、ストーリーは違った展開を見せたかもしれない。でもマレーナの味方だったかどうかも怪しくなる。彼は見ていることしか出来なかったが、だからこそあの年代の少年の成長を切り取った作品だと感じられました。コメディチックに進んでいた序盤が違う映画と感じられるくらいに、集団リンチの描写は容赦なく凄まじい。社会を律していたコードが変わる瞬間、普段は隠れている人のネガティブな感情が露わになる。監督は意図して人の醜い部分ばかりを抽出しているように思えます。でも不思議と後味の悪さが無かった。主人公の成長が救いになっていることもありますが、醜い部分も含めて人を描いているスタンスに潔さを感じたからでしょう。ちなみに、二次大戦中のイタリアを描いた作品って観た記憶がなかったけど、敗戦後にアメリカ軍を迎え入れる街の様子は、まるでドイツから解放されたパリのような歓迎ぶりでした。日独と同盟国でありながらも、戦争に対する国民感情は随分と違っていたようです。それを知ったことも収穫でした。 |
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