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タイトル名 |
パンドラの匣 |
レビュワー |
デルフトさん |
点数 |
3点 |
投稿日時 |
2010-08-10 14:20:29 |
変更日時 |
2010-08-10 14:20:29 |
レビュー内容 |
太宰治は、大半の方がご存知の通り、自虐的で破滅志向の生活を繰り返した作家です。彼の代表作は、初期と晩年のものが多いですが、どれも彼の人生を反映させた、暗く激しいものがほとんどです。その中で今作品の原作は、学園モノを彷彿させる明るさに満ちた作風で、その甘酸っぱさと清々しさに、私は何度も心を洗われたものでした。さて、映画のレビューですが、私は観ていて本当に辛かったです。登場人物も同じ、時代設定も、台詞もほぼ同じであるにも関わらず、原作の良さを少しも汲み取っていないから。劇中でもひばりの台詞にあったと思うのですが、松尾芭蕉の「かるみ」が、このストーリーの根幹にあるんです。恋心を抱いたり、仲間と喧嘩をしたり、団結したり、そういう日常の些細なやりとりの中で、ひばりはこれからの人生に希望を見出す。言っちゃえばそれだけなのですが、それこそが最も描くべきところじゃないですか。製作者は「俺は俺の『パンドラの匣』を作ったんだ、こういう形だってアリだろう」と言いたいのでしょうけど、だったら「かるみ」を持ち出さないで欲しい。変に原作通りの台詞で終わらせないで欲しい。親友と決別するような展開は、明らかにおかしいです。竹さんの描き方も酷いものですね。なぜタバコを吸ったり、こけし人形を持ちながら、卑猥な台詞を言わせたのでしょう。必要ありますか?マア坊との布団部屋のシーンは愕然としました。ひばりはサキュバスと戦っているのかと思いましたよ。かっぽれが死ぬ必要があったのかも理解できません。「太宰の原作は詰まらない。深く重く面白く、俺のやりたいように作り直すぞ」と思ったかどうかは分りませんが、それに近い傲慢さと勘違いが、終始ちらつきました。配役は悪くないのに、作り方の点ですごく悲しかったです。 |
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