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タイトル名 |
千年女優 |
レビュワー |
高橋幸二さん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2015-05-16 10:29:40 |
変更日時 |
2015-05-16 10:29:40 |
レビュー内容 |
千年生きるという予言は現実にはありえないが、女優としてなら可能だ。成就することのない虚構世界の恋を、千代子は千年の時空を超えて演じ続ける。 ■千代子は宇宙船のシーンで、ヘルメットに映った呪いの老婆の目の下に、黒子があることに気づいた。永遠に続く因果の呪いを彼女にかけたのは、彼女自身だったのだ。 真の恋の相手には永遠に巡り会えず、スクリーンの中の虚構の恋を永遠に続けることを己に課したという筋書きは、ファンにとっても「永遠の恋人」という虚構であり続けることに通じる。ロケット基地が蓮の花の形をしているのは、彼女がスクリーンの中で永遠に輪廻し生き続けることを象徴しているのだろう。 ■映画はまさに虚構である。時代や舞台が頻繁に変わるのはそれが虚構であることの証左であり、芝居の中にカメラマン二人が入り込むのは彼らがファンだからだ。源也は千代子の熱烈なファンだからこそ、彼女を追っかけ、ピンチには手を差し伸べる。千代子が演じたシーンは、蜘蛛巣城や無法松の一生など映画のオマージュに満ちている。「映画を愛するとはこういうことだ」と、監督が語りかけているかのようだ。 ■「あの人に老いた姿を見られたくない」としてスクリーンから引退した千代子は、まさに映画女優の象徴であり、「ファンに老いた姿を見られたくない」としてスクリーンから引退し鎌倉に隠棲した「永遠の処女」原節子がモデルだという。 |
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