|
タイトル名 |
ファミリー・ツリー |
レビュワー |
民朗さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2012-06-26 07:48:53 |
変更日時 |
2012-06-26 07:48:53 |
レビュー内容 |
この監督は何でこんなに哀れな中年を描くのが上手いのだろうか。主人公はどう仕様も無い状況に置かれている。妻には不貞を働かれ、長女はグレて訳の分からない奴と付き合っている、次女は妻に任せていたから今更どう接していいか分からない。そんな人生のどん底の男の捉え方が実に上手い。特に妻の不貞を知った主人公がハワイを無様に走り回り咽び泣くのをロングショットで捉えたシーンは、哀れさと可笑しさが絶妙に同居した名シーンだ。また主人公を演じるのが本来は二枚目のジョージ・クルーニーであることが面白さに拍車を駆けている。そしてハイライトとなる浮気相手との対面。浮気相手のスピアーの肩越しに主人公を捉えたショットは如何に主人公が矮小な存在で、妻に愛されていなかった哀れな夫であると認識させられる。つまり彼は何も持っていなかったのだ。原題『The Descendants』の通り主人公は自分がカメハメハ大王の末裔であることを何度も繰り返す。しかし親族会議の場で彼は何も得ていなかった自分を見つめ直して、自分に最後に残されたもの"血統"だけは失わんとしてあの決断をしたのだと思います。だから親族らに自身の決断を説明しようとする彼を背中から映し出したショットは不安が満ちていると同時に勇気と自信に満ちている様に感じるのでしょう。 |
|
民朗 さんの 最近のクチコミ・感想
ファミリー・ツリーのレビュー一覧を見る
|