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タイトル名 |
ばしゃ馬さんとビッグマウス |
レビュワー |
民朗さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2013-11-11 22:23:17 |
変更日時 |
2013-11-11 22:23:17 |
レビュー内容 |
夢を追いかける人の姿を残酷に描いた良作。ここまで女主人公をどん底まで突き落とす作品も少ないと思います。特に結婚式の場面で旧友に、見栄を張ってしまうシーンの儚さは半端じゃない。その後にゲロまで吐かせる容赦のなさ。最後までばしゃ馬さんこと馬淵は一次審査すら通らない。努力しても才能がなく夢が叶わない人、つまり世間一般の人々の姿を徹底的に映し出す。 彼らを映す画も素晴らしい。ビッグマウスこと天童が落選し奇声を上げながら全力疾走する様を、クローズアップとロングショットを織り交ぜて可笑しく哀しく映し出す。介護の現場で大失態をしでかした馬淵の錯乱状態を一人称のカメラが揺れることで表し、第三者視点から外で泣きじゃくる彼女を映し出す場面も良く出来ていた。会話劇や元カレの家でのロングテイクも印象的でした。 しかし残念な部分もありました。まず上映時間が長すぎる。馬淵がドン底に突き落とされるシーンが謂わばこの映画の谷間。そこからエンディングまで40分近くもある。優れた映画ならクライマックスに至るまでをタイトに描くと思います。 この映画は色々な場所での会話が出てくる。居酒屋、レストラン、シナリオ教室、エレベーター前、etc...。そこの会話劇は面白いのだけれど話してる当人以外の人物は完全な背景と化してしまう。居酒屋やレストランのシーンは特にひどい。主人公二人が口論してるのに周囲の人達は普通に会話を続けている。そこは場が白けるとかそれなりのリアクションをするべきじゃぁ。 風呂場でのオッサンの股間のモザイクも意味不明。それまで主人公に感情移入してるのにモザイク映った瞬間に「あ、これ映画だよな」って我に返っちゃう。実に無粋。 また私は馬淵に足りないのは何より"ストイックさ"だと思ったんですよね。本人は「ストイックにやらないと~」と何時でも何処でもタイプしてるんだけど(正直場所や状況を考えろと大いに思いますが)、ボーイズラブのシナリオを書いているマツキヨさんに「私はそういうのはちょっと興味ないかな~」とか言っちゃってる。私からすればどんなに自分の好きじゃないジャンルの企画であれ足がかりに挑戦していく位のスタンスが必要だと思うんだけどな。どんなジャンルでも深い部分はあるわけだし。そういうとこには最後まで気づかず終いで自分の宇宙の中だけで完結している馬淵の姿に納得できなかったというのが正直なところです。 |
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