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タイトル名 |
めまい(1958) |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2021-02-15 20:17:17 |
変更日時 |
2021-02-15 20:17:17 |
レビュー内容 |
子供のころTV放映で観ていて、ジェームズ・スチュワートが幻覚でうなされるシーンで怖さのあまりそこで観るのを止めた強烈な記憶があります。この歳で見返して観ても、怖さはともかくそのシュールさはなかなかのものです。 ストーリー展開は『レベッカ』を彷彿させるホラーというかオカルチックで、やっぱゾクゾクさせてくれます。マデリンが転落死してからのジェームズ・スチュワートはもう廃人状態、予備知識なしで観ていたらこの「お話しはどこへ行ってしまうんだろう?」と不安になるでしょう。ところがここからが原作のせいか大味な推理小説の謎ときみたいな感じになってしまうのが残念なところです。ヒッチコック自身がこの作品の出来には満足していないのは、意中の女優ではなくキム・ノヴァクを起用せざるをえなかったということだけではないでしょう。だいたいからして、マデリンの身代わりを首尾よくこなしたジュディが犯行後もスチュワートの行動範囲でウロチョロしているってのは、あまりにご都合主義が過ぎるって。主人公を助けるために登場させているキャラとしか思えないミッジが、中盤以降姿を見せないってのもどうなんでしょうか。そしていちばん納得がいかないのは、スチュワートが出会って恋したのはマデリンのふりをしたジュディであって、マデリンとは一面識もないはずだってことです。ジュディ=マデリンと思い込んでいた彼がジュディの正体を知ったあと、ジュディと会ったこともないマデリンの区別がつかなくなってしまったと解釈するしかないですね。ここで彼の精神は完全に崩壊してしまっており、もしエンドマーク後も物語が続くとしたら、今度は本当に廃人になって病院送りというお話しになるんじゃないかと妄想してしまいました。そう考えると、この映画の幕の閉じ方にはけっこう怖い意味があるような気がしてなりません。 私が鑑賞したのは修復されたレストア版でしたが、復元されたカラー映像の美しさには驚嘆しました。とくに原色のカラー設計が秀逸で、前半で金髪のキム・ノヴァクの背景には深紅を配するところなんかが素晴らしい。金髪に赤は映えるんだってことは、さすが金髪フェチのヒッチコックは判ってらっしゃったみたいです。 |
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