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タイトル名 |
カットバンク |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2016-11-17 22:10:59 |
変更日時 |
2016-11-25 17:55:00 |
レビュー内容 |
アメリカ映画の中でもいわゆる“スモール・タウン”ものは最恐のジャンルじゃないかと自分は思っています。本作もその“スモール・タウン”のひとつですが、観てのとおりで『ファーゴ』によく似た物語です。 舞台となるのはカットバンクというスオール・タウンで、売り文句が「全米で一番寒い町」というど田舎ですが、町の入り口に変なモニュメントが建っているところは『ファーゴ』とそっくりです。誘拐と殺人の違いはありますが事件が主人公の狂言であるところは一緒、共犯者がネイティヴ・アメリカンというところも共通です。『ファーゴ』でフランシス・マクドーマンドが演じた役柄に相当するのがジョン・マルコヴィッチのシェリフというわけです。ビリー・ボブ・ソーントンは『ファーゴ』のハーヴ・ブレスネルと似たようなキャラということになりそうです。でも『ファーゴ』と決定的に違うところは、ストーリー・テリングにオフ・ビート感が皆無なところでしょう。その代り狂言が狂い始めてからは、ちょっと予測しがたい展開になってきます。そこに登場してくるのがダービー・ミルトンという不気味なオタクじみた男で、此奴が実に気持ちが悪い。演じるマイケル・スタールバーグは素顔はごく普通のイケメンなんで、これはかなりの演技力の持ち主とお見受けいたします。この男に届くはずだった小包が狂言殺人のせいで行方不明になってしまったのが、主人公の計画が狂い始めるきっかけとなります。 この映画の難点はいろいろとスモール・タウン的な要素をちりばめてはいますが、これが有機的な効果を上げていないところになるでしょう。主人公の植物人間化した父親やガールフレンドのミスコン挑戦など、伏線として使えるプロットなのにどうも上手く生かされていないし、オリヴァー・プラットの郵政監察官なんてひどくストーリーから浮いていた気がします。 ラストは『ファーゴ』と違ってちょっと救いがありますが、これはこれで良かったかなと思います。でも全体的に中途半端な脚本のせいもあり、これだけ芸達者を揃えているのでもう少し何とかならなかったのかと残念です。 |
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