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タイトル名 |
暗殺のオペラ |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2025-02-10 22:27:11 |
変更日時 |
2025-02-10 22:36:32 |
レビュー内容 |
ベルナルド・ベルトルッチが撮った映画だから政治色が強めなのかと思ったけど、最初はミステリー仕立てで進行して行き、終わってみれば不条理系ホラーでした。 ムッソリーニ政権時代に反ファシズム闘士だった父が暗殺されてから30有余年、父の愛人だったドライファから呼ばれて終焉の地だった小村タラにやってきた父と同名の息子アトス。彼の容姿は亡き父と瓜二つだったので村人たちは驚きます。ドライファから父暗殺の真相を解明させるために呼び出したと聞かされたアトスだけど、なんか不穏な雰囲気を感じてすぐに帰ろうとするが、知らぬ間に村に腰を据えて真実を探ることとなってしまう。 まずこの映画の摩訶不思議なところは、ジュリオ・ブロージが父と息子の二役をこなすのですが30年前の父が現代のタラに現れるところで、かつての反ファシズム活動の同士やドライファまでもが現代の加齢した姿のまま逆に30年前の出来事に登場するところで、そう、どこまでが現代でどこからが過去の出来事なのかが判別しにくくなり、観る者の頭を混乱させます。こういう演者をシンクロさせる演出は凝ってますけど、本作を難解なものにしているのも確かでしょう。広場には父アトスを顕彰する胸像があるのですが、なぜか中盤以降にはその眼だけが白く塗りつぶされているのが不気味です。この白眼の胸像はこの映画のポスターにも使われていて、本作のキービジュアルになっていますね。 前半は訳が判りにくい上にはっきりいって退屈ですが、中盤から父アトスの暗殺の真相が明らかになりだすと俄然眠気も吹っ飛んでゆきます。そしてある意味で驚愕のラスト、息子アトスが迷い込んだタラは実は異界だったのか!もう完全にホラーですよこれは。まさかベルトルッチの映画でこんなサプライズが味わえるとは、意外でした。 |
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