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タイトル名 |
最前線物語 |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2019-10-12 23:49:24 |
変更日時 |
2019-10-12 23:49:24 |
レビュー内容 |
この映画は、戦争映画としては低予算だけどサミュエル・フラーが手掛けた作品ではもっともバジェットがかけられているみたいです。これもプロデューサーであるロジャー・コーマンの弟ジーンの手腕の成せるわざでしょう。ほとんど全編がイスラエルでロケされていてイスラエルが魔改造したスーパーシャーマン戦車をイスラエル軍から調達してドイツ戦車として登場させています。もちろんそれらしい雰囲気は皆無ですけど、この戦車は近くで見るととても元がシャーマン戦車とは思えない重厚さ、映画で使われるのは珍しいので貴重です。 この映画は、じっさいに第一歩兵師団にカメラマンとして従軍したサミュエル・フラーの経験をもとにしたオリジナル脚本の映画化で(中盤では従軍カメラマン役でフラー本人がカメオ出演しています)、たとえとしてはヘンかもしれないけど言わば戦争映画版ロードムービーという感じです。この師団にアメリカ参戦時に所属して終戦まで生き残れば北アフリカとヨーロッパを巡る旅を経験したことになるわけです。主役はもちろんザ・軍曹とも言うべきリー・マーヴィンなわけですが、相方みたいな位置づけでドイツ軍にもシュレーダーというナチスに凝り固まった下士官がいて、つねに同じ戦場で相まみえていたというのが面白い。まあ思想的なことや国籍は違うけど、マーヴィン軍曹もシュレーダーみたいに殺しはしないけど部下には必要あらばかなり非情になれる男ではあります。前大戦でのトラウマをシュレーダーの命を救うことで克服するラストは、ここにこそフラー脚本の妙が凝縮されていると思います。 戦車の中での出産や精神病院でのエピソードそして強制収容所での哀しい別れなど、随所にフラーらしさが見られるストーリーテリングでした。血なまぐさいシーンもあるけれど、不思議な詩情に満ちた戦争映画だったと思います。 |
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