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タイトル名 |
日本沈没(1973) |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2017-12-20 23:45:36 |
変更日時 |
2017-12-20 23:45:36 |
レビュー内容 |
原作は驚愕ものの高度なシミュレーション・フィクションで、日本SF小説の最高峰と言っても過言じゃありません。「地殻変動によって日本列島を消滅させる」という荒唐無稽な思考実験を、当時の地球物理学者たちと最先端の理論を駆使して起こりえると納得できる物語にまで昇華させています。また日本列島に生きる1億1000万人と日本人というアイデンティティがどうなってしまうのかという壮大なテーマも、政治的・文化的・国際的な視点から緻密に分析されています。この小説が当時の社会に与えた影響は絶大で、巨大地震の予知プロジェクトや耐震設計技術の研究などは、この小説が影響を与えたんじゃないでしょうか。 この社会現象を巻き起こしたベストセラーに東宝は当然のごとく飛びついたわけですが、やはり「完全映画化は不可能」と言われた題材なので、なんか総集編を見せられたような感は否めないところです。まあそれでも健闘したかなとは思います。天変地異の大災害は東京を襲う大地震と富士山噴火のシーンにほとんどの精力をつぎ込んだ感がありますが、特技監督が「爆破の中野」の異名を持つ中野昭慶ですからコンビナートの爆発や大火の描写は迫力満点。でも小松左京は関西人だけあって、原作ではこの後におきる近畿地方の壊滅が壮絶を極める地獄絵図なんですが、そこは映画ではほとんどスルー状態。東京地震と噴火で予算を食い潰しちゃったんでしょうかね。また役者たちが藤岡弘を筆頭に暑苦しい演技を繰り広げるのが、ちょっと鬱陶しいぐらいです。演技力に難があってセリフ棒読み状態のいしだあゆみが上手く見えるぐらいですからねえ。でもこれだけみんなで大芝居をやってくれると、いつもの丹波節なんだけど総理大臣がすごく印象に残ってしまうのが皮肉です。よく見ると脚本はあの橋本忍なんですね、名脚本家もこのあたりから腕が落ち始めていたのかもしれません。 できれば監督・本多猪四郎、音楽・伊福部昭で撮ってくれていたら、もっと出来が良かったのかもしれません。 |
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