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タイトル名 |
ダイナー(1982) |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2024-12-22 22:33:49 |
変更日時 |
2024-12-22 22:33:49 |
レビュー内容 |
登場人物たちがウダウダと無駄噺に明け暮れる、いわば元祖”タランティーノ・スタイル”とも言える作品。このジャンルはまさに本作から始まったと言っても過言じゃないでしょう。同じ80年代に流行った『セント・エルモズ・ファイアー』などのような所謂ブラッドパック映画と同じくくりにされることもあるが、はっきり言って全然別物。ブラッドパックものとは違って舞台や登場キャラにはキラキラ感はないけど、それを補って余りあるリアル感に満ちているのが特徴。実生活でも若いころの犯罪的な武勇伝を“ヤンチャ”と称して自慢するおっさんがいますが、この映画で描かれるような何者でもない若者の何事もないが突っ張った生き方こそが本来の“ヤンチャ”なんじゃないでしょうか。登場人物たちはせいぜいいたずらをして留置場で一泊するぐらいが関の山、決して規律に縛られる生き方はしていないが誰もが経験した様な青春の一コマです。本質的な悪人と呼べるキャラが誰もいないストーリーでもあります。 時代設定は1959年のクリスマス、考えてみればこの当時の20歳前後の世代はベトナム戦争に巻き込まれる一つ前の世代で、大戦後の米国が最も社会的にも幸福だった時代だったと思います。本作でケヴィン・ベーコンが印象に残りますが、やはり一番輝いていたのはミッキー・ロークだったと思っています。やっぱ彼の紆余曲折の多いフィルモグラフィ中でも代表作は本作のブギー役だったと思います。このころのロークはそりゃモテないはずがないじゃん、と羨みたくなるほど男の色気が迸っています。賭けグルイで負けを取り戻すために親友の妻エレン・バーキンを誘惑するのかと思いきや、寸前で踏みとどまって逆に夫婦仲を修復させようとする本質的に優しい男でした。また本作の良いところは、すでに製作から40年以上経っているけど”彼らのその後の物語”風の続編めいたものが撮られてないことじゃないかと思います。やはりそこも今でも多くの人に愛される作品となった要因なのかもしれません。 |
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