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タイトル名 |
ナポレオン(1927) |
レビュワー |
S&Sさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2025-01-04 22:14:36 |
変更日時 |
2025-01-04 22:14:36 |
レビュー内容 |
リドリー・スコットも同じ題材で撮ったけど、やっぱしナポレオンの映画と言えばこのアベル・ガンス版でしょ。私はコッポラが修復した81年の4時間版を観たわけだけど、オリジナルはなんと上映時間9時間!その他にも短いものは110分もありそして5時間30分、おまけにトーキー化されたものなど知られているだけでも10くらいの異バージョンが存在するというまさにディレクター・カット商売の先駆けみたいな感じです。ナポレオンの士官学校時代から始まり4時間かかってもやっとイタリア遠征に取り掛かるところまでしか描かれていません。いわばナポレオンの青春時代編といった趣きですが、時代背景としてのフランス革命の推移も割と丁寧に語っています。この作品の凄いところはその目くるめく様な映像のド迫力で、高速モンタージュ・多重露出・VFX特撮・手持ちカメラ撮影など、この当時には映画撮影に必須の技術がすでに完成していたというのは驚くしかありません。この映画は、士官学校時代・トゥーロン攻囲戦・フランス革命の推移・ジョセフィーヌとの結婚・イタリア遠征というのが大まかな構成ですが、どのシークエンスも大がかりなセットや大量のエキストラが使われていて引き付けられてしまいました。とくに国民公会議場や乱痴気騒ぎみたいな舞踏会のシーンでのモブ映像はまさに数の暴力といった感じで、カネが相当掛かってますよ。公会議場でナポレオンが恐怖政治で粛清された面々の亡霊と対峙するところも印象深いのですが、ここで「私は世界革命を起こして欧州共和国を創るのが目標だ!」と演説するのはまるでレーニンかトロツキーみたいな感じで、フランス革命は共産主義革命の雛形だったんだなという感が深まりました。 全長版ではナポレオンの生涯のどこら辺まで辿ったのかは興味あるところでもありますが、おそらくこのストーリーテリングのスピードではせいぜい皇帝戴冠あたりだろうなと思います。それにしてもこんなに尺が長いと、サイレント時代ですから劇場での劇伴演奏する楽団は大変だったでしょうね。感想としては満点つけたい誘惑はありましたが、実は半分しか観ていないのも同然なので、マイナス一点とさせていただきます。 |
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